2007年度 予防と健康管理 講義末試験 大槻担当範囲
37 以下は 2007.6.8. YOMIURI ONLINE よりの記事である。
「ポスト京都」枠組み策定,米も参加…サミット一致
主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)に参加していた各国首脳は7日午前(日本時間同日夜),最大の焦点である地球温暖化問題で合意した。温室効果ガスの排出量について,2050年までに世界で少なくとも半減するとした日本と欧州連合(EU)などの提案を「真剣に検討する」としている。また,13年以降の「ポスト京都議定書」の枠組みについて,米国を含む主要排出国が参加し,09年までにまとめる方針でも一致した。排出量削減の目標設定などをめぐり,隔たりのあった米国とEUの双方が歩み寄ったことは,「ポスト京都」の枠組み作りに向けた交渉が前進したことを意味する。ただ,交渉の焦点の一つだった削減の比較の基となる基準年の明記は見送った。
この記事について以下の問いに答えなさい。
a 京都議定書の会議は通称「地球サミット」と呼ばれる。
b 京都議定書では各国のフロンガス排出量が最大の問題となった。
c 熱帯原生林の大規模伐採も温暖化に影響が強い。
d 温暖化によって直接的にUV-Bの増加がもたらされる。
e ストックホルム条約で提案された数値目標が,京都議定書で施行された。
38 オゾン層破壊について正しいのはどれか。
a UV-Aが増加する。
b 懸念される健康影響には皮膚癌がある。
c オゾン層は二酸化炭素の吸収源としても重要である。
d ワシントン条約の採択にて各国でのオゾン層保護が進められた。
e フロンガスはリサイクルにより減少する。
39 有害物質について正しいのはどれか。
a 生物濃縮の条件には化学的安定性・脂溶性が挙げられる。
b 体内での蓄積量の推移は物理学的半減期から算出可能である。
c 蓄積率が高いほど排泄率も高くなる。
d 水溶性物質は主に胆汁から腸管に排泄される。
e 臨界濃度は臓器間で差がない。
40 環境汚染や公害について正しい組み合わせはどれか。
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症状など |
原因物質など |
発症の機序や状況など |
a |
Hunter-Russell症候群 |
PAN |
光化学反応 |
b |
Fanconi症候群 |
カドミウム |
小脳性運動失調 |
c |
色素沈着の新生児 |
PCB |
妊娠母体が汚染食品を摂取 |
d |
気管支喘息 |
SO2 |
女子高生に出現 |
e |
黒皮症やBowen病 |
ヒ素 |
ディーゼル排ガスとの関連 |
41 PRTRとMSDSについて正しいはどれか。
a PRTRによって水質のモニターをする。
b PRTRではすべてのダイオキシン類は等価の毒性を持つ。
c 事業所はPRTRに基づき化学物質の製造・移動・排出を行政庁に届ける。
d MSDSによって室内の有機化合物の指針が定められている。
e MSDSの利用が大気汚染を軽減させる。
42 公害健康被害の補償等に関する法律について正しいはどれか。
a 第1種地域は特異的疾患の生じた地域である。
b 特異的疾患とは原因物質と健康被害の因果関係が明らかな場合である。
c 健康被害のうち慢性気管支炎は第2種地域の疾病である。
d 第2種地域では汚染の固定発生源と移動発生源から補償財源を徴収している。
e 補償給付は汚染原因者負担の原則に則り国と地方自治体で全額負担している。
43 以下は 2007.5.30.. THE SANYO SHINBUN WEB NEWS よりの記事である(光化学スモッグは,光化学オキシダントの通称)。
光化学スモッグで緊急警告 主成分の濃度25年間上昇
環境省所管の酸性雨研究センター(新潟市)は30日までに,光化学スモッグの主成分である地表付近のオゾン濃度が,日本全域で25年間上昇し続け,注意報の発令地域が拡大するなど深刻化しているとして,早急な対策強化を訴える緊急アピールをまとめた。
中国で原因物質の排出量が急増,日本にまで流入していることが一因とみられ,東アジア全体での排出量削減強化や,人の健康や植物への影響に関する調査が必要だと訴えている。
光化学スモッグの主体である地表付近のオゾンは,自動車の排ガスなどに含まれる窒素酸化物(NOX)や,ガソリンや溶剤に含まれる揮発性有機化合物(VOC)が,太陽光を受けて化学反応を起こすことにより発生。濃度が高くなると,肺の細胞を破壊する恐れがあるほか,植物の成長も妨げる。
この記事に関連して以下のうち正しいのはどれか。
a 酸性雨の主因は一酸化炭素である。
b 地表付近のオゾンが有害紫外線を吸収する。
c NOXは,ほとんど自動車排ガスから発生する。
d VOCにはSOx,シアン,DDTなどがある。
e DEPはSPMに含まれる。
44 水質汚濁について正しいのはどれか。2つ選べ。
a 人の健康の保護に関する環境基準(水質)でアルキル水銀は検出されてはならない。
b COD測定は好気性菌によって有機物を分解する。
c DOとは水に溶けない懸濁性物質をいう。
d 大腸菌群はプランクトンの異常増殖の指標になる。
e 富栄養化にはリンや窒素が問題になる。
45 以下の図は,トリクロロエチレンの平成13年度の大気中濃度マップを示す。
以下のうち正しいのはどれか。2つ選べ。
a トリクロロエチレンは発がん性があり,神経・肝障害も生じる。
b 都会で高いのは人の呼気に多く含まれているため人口を反映している。
c 農薬の使用量と大気中濃度が比例している。
d 大気中に蒸発し雨に溶けて地下水や河川も汚染する。
e 人の健康の保護に関する環境基準(水質)でトリクロロエチレンは検出されてはならない。
46 廃棄物処理について正しいのはどれか。
a 産業廃棄物種類別排出量第1位は「汚泥」である。
b 産業廃棄物の処理の責任は地方自治体である。
c マニフェストシステムにより一般廃棄物の集荷量を規制する。
d 一般廃棄物のリサイクル率は約65%である。
e 感染性廃棄物とは培養している微生物をいう。
47 放射線の健康影響について正しいのはどれか。2つ選べ。
a 白内障は確定的影響である。
b 染色体異常は確率的影響である。
c 確定的影響では閾値がない。
d 被爆の影響は性腺と神経細胞に出現しやすい。
e 放射性宿酔は被爆数日後に認められる。
48 放射線管理について正しいのはどれか。
a 放射線作業従事者の1年間の全身線量限度は500mSvである。
b 放射線作業従事者の5年間の全身線量限度は500mSvである。
c 患者の医療被曝にも線量限度が設定されている。
d 放射線の透過力は種類にかかわらず一定である。
e シーベルト(Sv)は人体への被曝の大きさの単位である。
49 シックハウス症候群について正しいのはどれか。
a 代表的な症候に求心性視野狭窄がある。
b Raynaud現象は特異的な症状である。
c 予防対策は室内VOCの低減である。
d 換気は外気の有害物質を流入させるので最低限とする。
e 建材からのVOCの発生は少ない。
50 以下の図はある労働者の左右の耳の聴力検査の結果である。この図について正しいのはどれか。
a 所見をC5dipと呼ぶ。
b 4,000Hz前後の聴力が保持されている。
c 騒音職場から離れると回復する。
d アブミ骨障害による伝音性難聴である。
e 補充現象とはある距離を離れると逆に聴力が回復することである。
51 環境と健康について以下のうち正しいのはどれか。
a 一酸化炭素は腎尿細管障害を生じる。
b アルキル水銀は胎盤を通過しない。
c 内分泌かく乱化学物質には構造がエストロゲンと類似するものがある。
d ヒトへのダイオキシンの吸収は大気からの経気道摂取である。
e 局所振動の影響は感音性難聴として現れる。
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